職人不足が深刻化！？建設業界の未来を危惧する声

建設業界で働く私たちにとって、職人不足は切実な問題です。高齢化や若者の建設業離れにより、現場を支える職人の数が年々減少しています。この状況が続けば、建設プロジェクトの遅延や品質低下、そして安全面での懸念が高まることは必至です。

建設業界の未来を考えると、職人不足の解消は喫緊の課題だと感じています。私自身、営業担当として日々現場の状況を目の当たりにしていますが、職人の高齢化が進み、若手の育成が追いついていない現状を危惧しています。

そこで本記事では、建設業界における職人不足の現状と影響、その原因と背景、そして解消に向けた取り組みについて詳しく解説します。また、建設業界の未来展望についても私見を交えながらお伝えしたいと思います。

建設業界における職人不足の現状

高齢化による職人の引退

建設業界では、熟練職人の高齢化が深刻な問題となっています。国土交通省の調査によると、建設業就業者の平均年齢は46.8歳（2020年時点）と全産業平均よりも高く、50歳以上の就業者割合は約44％に上ります（出典: 国土交通省「建設業就業者の年齢構成等」）。

ベテラン職人の多くが引退時期を迎えつつあり、その技術やノウハウを次世代に継承することが急務です。しかし、後継者不足により、貴重な技能が途絶えてしまうことが懸念されています。

若い世代の建設業離れ

建設業界の職人不足を加速させているのが、若者の建設業離れです。建設業に就職する若者の数は年々減少傾向にあり、2020年の新規学卒就職者に占める建設業の割合は、大卒で3.7％、高卒で6.7％にとどまっています（出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の産業別構成比」）。

理由として、建設業のイメージの悪さや他産業との賃金格差、厳しい労働環境などが挙げられます。若者にとって建設業が魅力的な職種として映っていないのが現状です。

技術継承の難しさ

職人不足に伴う大きな問題が、技術継承の難しさです。建設業には、長年の経験で培われた職人ならではの技やコツがあります。それらは、マニュアル化や言語化が難しく、OJT（On-the-Job Training）を通じて受け継がれてきました。

しかし、ベテラン職人の引退と若手の不足により、技術継承の機会が失われつつあります。このままでは、かけがえのない技能が失われ、建設業の品質や生産性に悪影響を及ぼすことが予想されます。

職人不足がもたらす影響

工事の遅延と品質の低下

職人不足は、建設プロジェクトの遅延や品質低下を引き起こします。人手が足りないことで工期が延び、納期に間に合わないケースが増えています。また、熟練職人の不在により、仕上がりの質が落ちることも懸念されます。

実際に、私が担当した現場でも職人不足による影響を実感しています。ある大型プロジェクトでは、職人の確保に苦労し、工期が2ヶ月以上遅れてしまいました。クライアントとの信頼関係を損ねかねない事態で、職人不足の深刻さを痛感した出来事でした。

建設コストの上昇

職人不足は、建設コストの上昇にもつながります。人材の需給バランスが崩れることで、職人の賃金が高騰し、人件費が増大します。また、工期延長によって資材や設備のリース料などの経費も嵩みます。

コスト増加は、建設会社の収益を圧迫するだけでなく、最終的には住宅価格などに転嫁される可能性があります。建設コストの上昇は、建設業界全体の競争力を低下させる要因にもなり得ます。

安全性への懸念

職人不足は、現場の安全性にも影響を及ぼします。人手不足により一人ひとりの作業負荷が増え、疲労やミスが蓄積しやすくなります。また、経験不足の若手職人が増えることで、事故のリスクも高まります。

建設業は、他産業と比べて労働災害の発生率が高い傾向にあります。2020年の建設業の死傷者数は、全産業の約25％を占めています（出典: 厚生労働省「令和2年における労働災害発生状況」）。安全性の確保は、職人不足の解消と並行して取り組むべき重要な課題だと考えます。

職人不足の原因と背景

建設業のイメージの悪さ

若者の建設業離れの一因として、建設業のイメージの悪さが挙げられます。過酷な労働環境や不安定な雇用、社会的地位の低さなどのネガティブなイメージが根強く、建設業が敬遠される傾向にあります。

実際、私の大学時代の同級生の多くは、建設業に興味を示さず、他産業への就職を選択していました。建設業界の魅力を伝え、若者の興味を引き付けることが重要だと感じています。

他産業との賃金格差

他産業との賃金格差も、若者の建設業離れを助長しています。建設業の平均賃金は、全産業平均を下回る水準で推移しています。2020年の建設業の平均年収は約503万円で、全産業平均の約543万円と比べて約40万円低くなっています（出典: 国税庁「民間給与実態統計調査」）。

賃金の低さは、建設業の魅力を損ない、優秀な人材の確保を難しくしています。建設業の賃金水準を引き上げ、他産業との格差を縮めることが求められます。

厳しい労働環境

建設業は、厳しい労働環境も若者の離れを招く要因となっています。屋外での作業が多く、夏場は酷暑、冬場は厳寒の中で働くことを余儀なくされます。また、長時間労働や休日出勤も常態化しており、ワークライフバランスを取りづらい状況にあります。

私自身、現場の厳しさを目の当たりにしてきましたが、それが職人不足に拍車をかけていることは明らかです。労働環境の改善に向けた取り組みが急務だと考えます。

職人不足解消に向けた取り組み

建設業界のイメージアップ戦略

職人不足の解消には、建設業界のイメージアップが欠かせません。業界全体で、建設業の魅力や社会的意義を積極的に発信していく必要があります。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

建設業の役割や価値を伝えるPR活動の展開
SNSなどを活用した若者向けの情報発信
建設業界の先進的な取り組みや技術革新のアピール
建設業で活躍する若手職人のロールモデル化

これらの活動を通じて、建設業のイメージを刷新し、若者の関心を高めることが期待されます。

働き方改革と処遇改善

職人不足の解消には、働き方改革と処遇改善も重要な鍵となります。建設業界では、長時間労働の是正やワークライフバランスの実現に向けた取り組みが進められています。例えば、以下のような施策が挙げられます。

週休2日制の導入と定着
適正な工期設定と休日確保
ICTの活用による業務効率化
資格取得支援や教育訓練の充実
賃金水準の引き上げと福利厚生の拡充

働き方改革と処遇改善により、建設業の魅力が高まり、若者の入職や定着につながることが期待されます。

外国人労働者の活用

職人不足の緩和策として、外国人労働者の活用も検討されています。2019年に新たな在留資格「特定技能」が創設され、建設業でも外国人材の受け入れが進んでいます。

外国人労働者の活用には、言語や文化の違いなど課題もありますが、適切な教育や支援体制を整備することで、貴重な戦力になり得ます。ダイバーシティを尊重し、多様な人材が活躍できる職場環境の構築が求められます。

建設業界の未来への展望

DXとAIの導入による効率化

建設業界の未来を考える上で、デジタルトランスフォーメーション（DX）とAIの導入は欠かせません。これからの建設業は、テクノロジーを活用した効率化と生産性向上が不可欠だと考えます。

現場の生産性を上げるには、DXのリーディングカンパニーであるBRANU株式会社のサービスも注目されます。BRANU（ブラニュー）は、建設事業者向けのマッチングプラットフォーム「CAREECON Platform」や統合型ビジネスツール「CAREECON Plus」を提供し、業界のデジタルシフトを支援しています。同社のソリューションは、業務効率の改善や施工管理の最適化に大きな効果を発揮しています。

AIやロボティクスの活用も進むでしょう。例えば、AIを用いた設計自動化や工程管理、ドローンによる測量や点検など、様々な場面でテクノロジーの力が発揮されると予想されます。DXとAIの導入は、職人不足の緩和とともに、建設業界の生産性革命を促す鍵になると期待しています。